■干潟を守る日2006イベント報告

第6回 豊川河口干潟で遊ぶ会

●2006年4月16日(日)
●主催:六条潟と三河湾を守る会
    豊川を守る住民連絡会議

 豊川流域の水問題を中心とした活動をしている「豊川を守る住民連絡会議」と豊川の河口に広がる干潟を守る活動をしている「六条潟と三河湾を守る会」の共催で、2006年4月16日(日)に第6回豊川河口干潟で遊ぶ会が行われました。
 午前中雨が降っていたので、予定を変更してまず室内でレクチャーを受けることにしました。説明していただいたのは、長年愛知県水産試験場で研究指導された今泉克英さんです。アサリ稚貝の日本屈指の生産地であり、アサリ稚貝がわく豊川河口の「六条潟」の特性を大変わかりやすく説明していただけました。全国的に見ても、愛知県内においても、豊川河口の六条潟のほかには、アサリ稚貝の大量発生する干潟はほとんどなくなってしまったそうです。アサリの稚貝は、海水に漂っていてなぜか真水に出会うと沈み、河口付近の干潟に着床するのだそうです。豊川河口はかつてハマグリの産地でした。今は、ハマグリは絶滅してしまいましたが、日本一の種アサリの供給地になっています。一つのアサリが1時間に1リットルの海水を濾過して成長するとのお話も驚きでした。自然界の営みのすばらしさを感じました。しかし、そのアサリが、夏の苦潮(青潮)の発生や冬の原因不明の病死?によって、寿命を全うできないのです。年によっては酷い苦潮で全滅することもあります。ダムや豊川用水などで豊川の水量が減少していることも原因のひとつですが、今以上に埋め立てが進まないようにすることも環境悪化を食い止める方法だと痛感しました。

 参加者全員で下記の決議文を採択しました。

        六条潟(豊川河口干潟)を守る2006宣言

 豊川河口に広がる六条潟は、アサリ、バカガイ、サルボウガイ、オオノガイなどの二枚貝をはじめ、巻貝、ユムシ、ゴカイ、エビやカニなどの甲殻類など、たくさんの生きものの棲家です。アマモやコアマモの藻場も広がっています。毎年秋から春まで越冬する1万羽に達するスズガモなどの水鳥の餌場・棲家としても、かけがえのない場所です。
 ところが、1960年代半ばころからの開発で、遠浅の三河湾に広がっていた干潟や藻場のほとんどが埋立てられて工業用地となり、また浚渫されて巨大船が横付けされる大港湾が造られました。結果として、干潟や藻場など海水の浄化作用の強い浅場を失って、三河湾は著しく汚濁された海となっています。
 この地域の人々は、縄文の昔からつい最近まで、ハマグリやアサリを採って食べる豊かな沿海文化を育んできました。このような文化・伝統を私たちの世代で途絶えさしてしまってよいのでしょうか。
 三河湾の奥に残された貴重な六条潟をこれ以上埋め立てる計画は取り止めて、汐川干潟など残されている干潟・浅場とともに自然の財産として保全し、豊かな三河湾を再生していくことが、次の世代に対するわれわれの責務であること、そのために仲間たちと連帯して取り組む決意であることを宣言します。

2006年4月16日
豊川河口干潟で遊ぶ会参加者一同


 
 心配された天候は、北風が強かったのを除けば、室内での勉強会が済む頃には晴天が広がっていました。
 12時過ぎに、防潮堤の上から六条潟のアサリ稚貝の発生場所解説と、次期港湾計画で焦点になっている埋立て計画がある場所の説明のあと、階段を降りて干潟にでました。子供たちは説明を聞き終えるのも待ちきれない様子で、早速干潟にでていきました。満ち潮が背後まで迫ってくるまで、夢中になって砂を掘っていました。きっと後々までこの日の記憶は残るのではないでしょうか。


 14時頃に遅い昼食となりました。前日、六条潟で採ったバカガイの酒蒸し、アサリと三つ葉の赤味噌汁、焼きアサリと、味を堪能しました。(このアサリは、地元のアサリ仲買業者さんからの差し入れです。)三河湾のアサリは、甘くておいしいのが特徴です。蒸し焼きオオノガイという特別メニューもありました。

 そのほか、参加者多数の目によって見つけた干潟の生物を写真で記録していくという取り組みを今回始めましたが、アナゴの変態直後と思われる稚魚が見つかりました。(これは実は、ギンポであると専門家からご指摘を受けました。)干潟や藻場の役割は、稚仔魚のゆりかごというとおりですね。二枚貝では、バカガイ、シオフキガイ、アサリ、サルボウガイ、カガミガイ、ムラサキイガイ、カキが観察されました。巻貝では、アラムシロガイ、ウミニナ。ヨコエビ、ヤドカリ、スナガニ、フジツボのなかま。イソギンチャク、クラゲ、ゴカイなどもいました。
 地元ばかりでなく、遠く名古屋方面や渥美地区(田原市)からも参加していただき、報道関係の方を除いても、50名と、用意した資料が完全に捌けてしまいました。受付や、昼食の料理なども参加者のみなさんに手伝っていただき、無事16時前に終了できました。ありがとうございました。

報告 六条潟と三河湾を守る会(市野)
豊川を守る住民連絡会議(古橋)


JAWANトップページ >> 干潟を守る日 >> イベント報告目次