“輪”になってみんなで話そう諌早湾!!
─干潟・湿地を守る日2025 in 諌早─
農水省は、「非開門を前提に」を呪文のように枕言葉にしている。私たちは彼らとの対決を明確に意識し、「前提条件なし」での対話を追求する。
◆今年のキャッチフレーズ
今年の集会「干潟を守る日2025 in 諫早」のキャッチフレーズはこれだ。
「“輪”になって みんなで話そう 諫早湾!!」

毎年恒例の会場、諫早市民センターに今年は約50人の市民に参加いただいた。
プログラムは次のとおり。
①RKB報道特集でテレビ報道された「誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した~」を上映: YouTubeで配信されている(46分)。
②現状報告
有明海漁協 平方宜清
干拓地営農 松尾公春
③市民の取り組み─開門への展望
有明海漁民・市民ネットワーク
堀良一、菅波完
④フルートライブ(休憩と雰囲気の転換を兼ねて、演奏と唱和の時を過ごす)
⑤意見交換「私の提言、そして行動」
参会者全員は、丸い円をつくった座席から各自の発言をし、聞く。その主旨は白板に書き込み、共有される。いくつか拾ってみる。
◇ノリの不作に関して、ある大学院生から「『有明海』で採れなければ、他所(ヨソ)で採れればイイ」と言われた。
◇自分の町で「何が獲れているのか」子供たちは知らない。
◇教員には「上」からの圧力がある。環境教 育の必要性は感じるが、誰がやるのか!
◇長里川河口のアサリは旨(うま)い。「干潟はCO2吸収源」それが「環境教育」
◇「みんなで話し合う」ことに意味がある。
なんだか「禅問答」の感がするが、当事者は現場でそれなりに悩み、試行錯誤しているようだ。
来年の集会で1年間を振り返り、当人たちの報告に期待したい。
ロビーでは、昨年10月に亡くなられた富永健司さん(諫早市在住)の写真も展示された。彼は長年、諫早湾の子供たちの遊ぶ姿を追い続けて、写真集も出版した。
◆カニさんといっしょに諌早市内をパレード
集会のあと、後藤さん手作りの「カニさん」(右上の写真)といっしょに諌早市内をパレードした。

街頭でのシュプレヒコールはこうだ。
「有明海をよみがえらせよう!」「宝の海をとりもどそう!」「地域の宝、諫早湾!」「干潟の生き物、大事にしよう!」「農業、漁業もどっちも大事!」「タイラギ、ウナギもよみがえらせよう!」「未来のために話し合おう!」

話す相手は農水省であり、長崎県、諫早市、そして地元の諫早湾調整池沿岸の皆さん。さらに、開門に理解を示す市民と、あくまで反対にこだわる市民。中央市街地のアーケードの商店街で毎月、マイクで「開門しよう」とリレートークしているが、まともにチラシを受けとったり、対話ができるのはほんの一部の年寄り。ほとんどの市民がよそ向いて、通り過ぎる。とくに中年や子連れの若者、さらに学生諸君は「諫早湾? 何の話?」。いつの間にやら、潮受け堤防の閉め切りから28年も経過している。聞いたこともない話を理解するのは難しい。
一つずつ行動を積み上げていくしか手段はない。そのなかでも、「干潟を守る日」は最も重要な一つだ。全国の仲間が見守ってくれている、という確かな手応えが私たちを支える。そして、私たちの後には若い息吹きが新たな道を築き、芽生えてくれる。そんな予感が胸を熱くする。