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門司の土砂搬出はストップしたけれど

辺野古土砂ストップ北九州 世話人 八記久美子

*江戸時代からの採石地

最初の計画で辺野古への土砂搬出予定地となった福岡県北九州市門司区は、江戸時代から採石が行われています。ビルや道路など、戦後の復興を支えてきた門司の「石」でしたが、「効率のいい採石の時代は終わった」と業者の方が言われるように、採石場の数は減ってきました。しかし、まだまだ山は削られ続けています。

その門司の石(岩ズリ)を辺野古新基地建設の海の埋め立てに使う計画があることを知った私たちは、すぐに「故郷の土砂を戦争に使わないで」と搬出反対の会を結成。早いもので、あれから7年半が経ちました。

*門司からの土砂搬出がストップした代わりに

この間、私たちは「土砂全協」(辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会)の一員として、何度も環境省・防衛省・厚労省と交渉を行なってきました。また、大浦湾に軟弱地盤が見つかり、それに対応するために2020年4月、沖縄防衛局(施工主)は設計変更の書類を沖縄県に提出しました。その資料からは、門司を含む西日本各地の地名が消え、代わりに、「沖縄戦の遺骨が含まれる南部の土砂」を中心とした沖縄県と鹿児島県から、大量の土砂が搬出される計画が記されていたのです。

なぜ、西日本各地の土砂搬出がなくなったのか…。輸送費の問題もありますが、一番は、大量すぎる土砂の外来生物駆除が不可能だったからではないでしょうか。

門司が搬出予定地でなくなったので、旗もつくりかえました。

*完成しても米軍は常駐しない?

沖縄での米軍基地の弱点は軍港がないことです。いざ出撃…となっても、軍艦も武器も弾薬も、あちらこちらから集めなくてはなりません。

辺野古に新基地をつくる話(マスタープラン)は1966年と1980年に持ち上がりましたが、両方とも「建設費が高額すぎる」と実現しませんでした。そして今回、その建設費(沖縄県試算2兆5500億円)を日本に肩代わりさせることで、マスタープランは息を吹き返しました。

しかし、軟弱地盤の関係で工事は進んでいません。私は最近「新基地建設が不可能だという事を一番わかっているのは、日本政府。日本政府にとって大事なのは、新基地の完成ではなく、利権に群がるゼネコンをもうけさせる事にあるのではないか」と思うようになりました。

映画監督の三上智恵さんは、「辺野古は中国のミサイル圏内に入っているために米軍は常駐する気もない。代わりに、弾薬庫も軍港も滑走路も使える自衛隊の一大出撃拠点になり、水陸機動団も辺野古を使う予定だという」と言われています。

*3年がかりの学習会

~地位協定・合同委員会・安保条約~

2020年、私たちは「地位協定・合同委員会・安保条約」の学習をすることを決めました。

テキストに選んだ本を毎回輪読しながら論議を重ね、その内容を会報に載せる。また、学習の締めくくりとして講演会を行うというスタイルです。

毎月の連続学習会は、当初は会場に集まって行っていましたが、現在はZoom開催となっています。

一つのテーマを終えるのに、大体1年かかります。この9月には、日米合同委員会の学習の締めくくりとして、テキストにした≪「日米合同委員会」の研究≫の筆者・吉田敏浩さんをお招きして講演会を開きました。講演会には100名程の参加があり、たくさんの質問が出されました。

日米地位協定の連続学習会の締めくくりとして開催した「新聞記者が見てきた日米地位協定の現実」の講演会には、会場いっぱいの参加者が。

サンフランシスコ平和(講和)条約の発効日である1952年4月28日に「日米安保条約」「日米行政協定」(現・地位協定)、直前の1952年3月4日には「予備作業班」(後の日米合同委員会)がつくられ、以来、これらは戦後の占領状態を引き続きつくりだす組織として存在し、日本がいまだに真の独立国とはなっていない原因となっていることを、私たちは学びました。

*県下の団体にも声を広げ

私たちは昨年度、「遺骨の残る土砂を使用しないことを求める意見書の提出」を北九州市議会に請願し、修正した形でしたが採択されました。

今年度は、県下の団体にも声をかけ、上記の請願を県議会へも提出する計画です。

北九州市議会に提出する請願陳情の紹介議員の依頼で、各会派にお願いに。

また、新しい取り組みとして、「沖縄料理を食べる会」や「沖縄の方と語る会」など、沖縄の文化や思いを知る企画も取り組みます。

*武力で平和は守れない

ロシアのウクライナ侵略のあと、「軍事には軍事」の世論が広がりました。しかし冷静になるにつれ、「軍事対軍事は暮らしを押しつぶす」との声もあがり始めました。

参議院選挙後の朝日新聞の世論調査では、軍事費について「今のままがよい」「減らす方がよい」が合わせて59%。7月末に発表された日本世論調査会の「平和世論調査」では、戦争を避けるために「最も重要と思うことは」という問いに対して、「日本国憲法を順守する」「平和に向け外交に力を注ぐ」と答えた人はあわせて56%に達しました。

今、中国と米国の戦争に巻き込まれる可能性が大きくなっていますが、戦争にしないことこそが政治の役割です。平和は話し合いでしか手に入れることは出来ません。当会規約の目的には「基地のない平和な沖縄・日本の実現」があります。北九州の地で、「新基地建設ストップ」とあわせ、「戦争反対」「憲法守れ」の声を上げ続けたいと思っています。

毎月の小倉駅前宣伝。マイクは交代で握ります。

JAWAN通信 No.141 2022年11月30日発行から転載)