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第二東京湾岸道路は阻止できる

─地元の船橋市長が「三番瀬を最優先にする」と表明─

三番瀬を守る連絡会 中山敏則

三番瀬では第二東京湾岸道路計画が大きな問題になっている。三番瀬保全団体は、この道路の建設を1993年の発表以来26年くいとめてきた。しかし国交省と千葉県はあきらめない。今年1月17日、第二湾岸道路建設にむけた検討会の設置を石井啓一国土交通大臣が表明した。国交省千葉国道事務所は3月28日、大臣表明を受けて第1回「千葉県湾岸地区道路検討会」をひらいた。三番瀬保全団体は7月5日に船橋市の3部長と、7月30日は市川市の交通計画課長などと話しあった。

図6-1
千葉側では浦安、市川、船橋、習志野、千葉5市の埋め立て地に8車線の第二湾岸道路用地が確保されていて、三番瀬で中ぶらりんになっている

*3市長が懸念を表明

県が1993年に三番瀬埋め立て計画を発表して以降、三番瀬保全団体は世論喚起に力をそそいできた。その結果、三番瀬に面する船橋、市川、浦安3市の姿勢は様変わりした。かつては、第二湾岸道路を三番瀬に通すことに3市とも積極推進だった。いまはちがう。市川市では、昨年4月の市長選で三番瀬の保全を選挙公約にかかげた村越祐民さんが当選した。船橋市は2017年7月に三番瀬環境学習館を、浦安市は今年6月に三番瀬環境観察館をオープンさせた。

第二湾岸道路建設にむけた検討会の設置を国土交通大臣が表明したさい、前記3市の市長は2月14日、懸念を表明する文書を連名で県知事に提出した。文書は、「第二東京湾岸道路に関するこれまでの計画では、貴重な干潟である三番瀬や住宅密集地を通過し、環境や漁業、市民生活への影響が懸念されております」と記し、「関係市の意見や要望を聴取・斟酌(しんしゃく)すること」などを求めている。

*「三番瀬を最優先にする」

JAWAN加盟5団体(三番瀬を守る会、三番瀬を守る署名ネットワーク、千葉の干潟を守る会、千葉県野鳥の会、千葉県自然保護連合)など三番瀬保全7団体は7月5日、船橋市の3部長(都市計画部長、環境部長、道路部長)と話しあった。

写真6-1
第二東京湾岸道路計画について船橋市の3部長(左手前)と話しあう三番瀬保全7団体のメンバー=2019年7月5日、船橋市役所

市民団体との話しあいに部長が3人も出席するのはきわめて異例である。7団体は、三番瀬に第二東京湾岸道路を通すことについて「船橋市も反対の意思を表明してほしい」と要望した。部長はこう答えた。

「みなさんは、三番瀬は首都圏全体にとってきわめて大切な自然であり、その保全は船橋市の観光やまちづくり、環境などにとっても重要である、と主張している。そのような三番瀬への思いは市長もおなじである。市長は市議会において『三番瀬を最優先にする』と表明した」

*第二湾岸道路建設より道路改良を優先すべき

参加者はこんなことも要望した。

「きょうの話を聞くと、部長さんたちも三番瀬の重要性を認識されている。しかし、渋滞解消が重要だと国交省や県が押してきた場合、市は対抗できるのか。それを心配している。渋滞はいろいろなやり方で解消できるということを船橋市からも言ってほしい。たとえば国道357号の若松交差点(船橋市)は右折レーンの延伸によって渋滞がかなり緩和した。新たに第二湾岸道路をつくるのではなく、既存道路の改良をどんどんすすめてほしい。そういうことを船橋市も言ってほしい」

部長はつぎのようにのべた。

「市長がいつも言っているのは、第二湾岸道路をつくるよりも国道14号や船取線(県道船橋我孫子線)などを積極的に改良し、それらの渋滞をなんとかしてほしい、ということだ。そのことを国や県に何回も要望している。私たちも市長と同じ考えだ。具体的には、右折レーンの設置などを早期にやってほしいと要望している」

船橋市長などの言葉は第二湾岸道路を阻止するうえで強力なカードとなる。

写真6-2
船橋市の3部長(左)に市長あての要望書を手渡す三番瀬保全団体のメンバー

7月30日は市川市の交通計画課長、行徳支所臨海整備課長と話しあった。第二東京湾岸道路について、課長は「三番瀬再生計画と整合をはかりながらすすめるべき」とのべた。

写真6-3
市川市の交通計画課長など(手前左)と話しあう三番瀬保全団体のメンバー=7月30日、市川南仮設庁舎
(JAWAN通信 No.128 2019年8月30日発行から転載)

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