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石垣島シンポジウムの感想

石垣島の豊かな自然を満喫

笹木智恵子
写真15-1
石垣青少年の家が保護したアオバズク

2019年3月30日の夕方、県立石垣青少年の家に到着した。傷ついたアオバズクとリュウキュウアカショウビンを青少年の家で保護していると聞き、特別に見せていただいた。

翌31日の午前はアンパルの観察会だ。アンパルの河口干潟ではホウロクシギが餌をついばんでいる。ヤエヤマヒルギの根っこが、潮の引いた潟からタコの足のように見える。

潮の引いた河口のマングローブ林に降り、樹木の種類を教えていただいた。ヤエヤマヒルギ、オヒルギ、ヒルギモドキ、ヒルギダマシなどを総称してマングローブとよんでいる。

大人の拳(こぶし)ほどの日本最大級のシジミ、シレナシジミ(マングローブシジミ)がたくさんころがっている。マングローブ林の中を流れる川をのぼった。カワセミの出迎え、川の中での歩行。観察会の時間はあっという間に過ぎていった。アンパルの自然を熟知した「アンパルの自然を守る会」のかたがたが案内してくださったおかげで貴重な体験ができた。ラムサール条約湿地を守るための問題提起もあり、改めて自然を守ることのむずかしさを感じた。

石垣青少年の家でシンポジウムが終わったあと、夜の懇親会では石垣牛のバーベキューと八重山そばを楽しんだ。

3日目の4月1日は石垣島の観光だ。最初に近くの石垣鍾乳洞を見学した。サンゴ礁が隆起してできた島なので、未知の鍾乳洞もあると聞く。かつて空港建設問題で論争になった白保の街並み、明和の大津波で運ばれたとされる津波石なども見た。

わたしは飛行便の都合でもう一泊した。「守る会」のかたに、陸ボタルのヤエヤマヒメボタルが見られると聞き、案内していただいた。ジェラシックパークのようなシダのつながる森の散策路をすすむ。日没の7時ごろから8時ごろまでの乱舞だ。その日は肌寒く(15℃)、ホタルは例年より少ないとのこと。真っ暗な道だったが、家族連れや海外の観光客もツアーでたくさん来ている。思いがけない貴重な経験となった。


南国を感じさせるマングローブ林

山本廣子
写真15-2
ヤエヤマヒルギ

アンパル観察会では、名蔵湾の海岸からアンパル干潟やマングローブ林の水路の中まで歩いて観察した。ヤエヤマヒルギやオヒルギ、大きなキバウミニナなど、石垣ならではの自然を味わうことができた。

オオハマボウの黄色い花が咲いていた。トベラやハマゴウ、シロバナサクラタデなど、和白干潟で見られる植物もある。ヒトモトススキの大群落があると聞いていたので楽しみにしていた。しかし、奥の湿地草原には立ち入ることができないとのこと。残念ながらその大群落は見ることができなかった。

「アンパルの自然を守る会」のかたにくわしく解説していただいた。マングローブ林の水路の奥でマングローブの縞(しま)枯れが起こっている場所も案内していただいた。すばらしい自然や、問題となっている現場を見せていただいた。

落ち葉を食べるという大きなキバウミニナがあちこちにころがっている。めずらしいものを見た。

手のひらにのるぐらい大きなシレナシジミや小さなイソハマグリがとれた。マングローブ林の中の流れで投網を打っていただき、クロサギやオキナワフグ、ヌマエビの仲間などもとれた。

途中でオオメダイチドリ、キョウジョシギ、キアシシギ、アオアシシギ、カワセミなどを見た。ヤエヤマヒルギはマングローブ林に生える常緑高木だ。そのタコ足の根っこには南国を感じた。マングローブ林の中を歩いたことは貴重な体験となった。


石垣島は半端じゃない

西沢正浩

はじめて石垣島に行き、ものすごいショックをうけた。石垣島は半端じゃない。植物はわたしの想像をはるかにこえている。草のくせに、やたらとでかい。

名蔵アンパルはとても重要な湿地だ。いただいた『名蔵アンパルガイドブック』は、めちゃくちゃよくできている。生き物は、見るものの大部分が石垣島特有のものだった。

アンパルではシギ・チドリ類を見ることもできてよかった。シギ・チドリ類だけは、東京湾の三番瀬などで見るものとおなじだった。ダイシャクシギやオオメダイチドリ、キョウジョシギなどだ。おなじ鳥が、渡りの途中でアンパルに立ち寄る。それを自分の目でたしかめることができて、感動した。

夜、アオバズクとリュウキュウコノハズクがかなりのボリュームで合唱するのを石垣青少年の家で聞いた。これに呼応してほかの鳥も鳴く。こんなことは千葉などでは体験できない。大感激である。石垣島シンポジウムに参加してすごくよかった。


石垣島の人たちは自然や生き物を大切にしている

染谷雅博

飲食や買い物で石垣市内の店をいくつか利用した。店の従業員に話を聞くと、本土から働きにきている若者が多いという。しかし、石垣島に定住するつもりはないとのことである。これには驚いた。

石垣島では、本土の資本によるリゾートホテルやゴルフ場の開発が問題になっているということをシンポジウムで聞いた。それとおなじことが飲食店や小売店でも起きているのではないか。他方で、沖縄で生まれ育った若い人たちは本土にどんどん転出する。これにはひっかかりを感じた。

アンパルの観察会では、思ったよりも奥のほうまで行くことができてすごくよかった。現地の人たちの努力でアンパルが守られていることを感じた。

石垣青少年の家では、傷ついたアオバズクとリュウキュウアカショウビンを職員の方が保護していた。石垣島の人たちは自然や生き物を大切にしている。そのことに感心した。

わたしは生まれたときからずっと船橋市に住んでいる。船橋市の豊かだった自然は埋め立てや宅地開発などによってめちゃくちゃに壊されてしまった。石垣島の豊かな自然を見て、船橋市もかつてはこんな自然があったのになあ、と思った。


学ぶことの多いシンポでした

星野喜久恵

本土から石垣島に移住した人たちが、環境問題や基地問題などでがんばっている。それを知り、感心した。とても立派だと思う。昔から石垣島に住んでいる人たちとどうやっていっしょに活動するようになったのか。それを知りたい。

「沖縄県民と連帯する府中の会」のニュースを友人からもらった。石垣島の陸上自衛隊配備計画の記事も載っている。環境アセスを求める周辺住民が4月12日に石垣市長と面談したという記事だ。市長は「時間のかかることを懸念して」アセスは求めず、とある。今回のシンポジウムで教わったことを友人に話したい。

アンパルの観察会では、広大なマングローブ林に感動した。しかしシンポジウムでは、マングローブ林の拡大による干潟の減少を山崎雅毅さんが問題視された。「マングローブだけが増えればいいというものではない」と話された。山崎さんの話を聞き、自然界の複雑さを認識した。

アンパルの観察会には子どもたちも参加した。「アンパルの自然を守る会」のガイドが楽しいからだと思う。

学ぶことの多いシンポジウムでした。ありがとうございました。


ラムサール条約湿地もさまざまな問題をかかえていることを認識

細田邦子

名蔵アンパルの観察会では、本土とちがった生態系を見ることができました。案内してくださった「アンパルの自然を守る会」の皆様、ありがとうございました。

ラムサール条約に登録されてもさまざまな問題があり、きっちり保全していくことのむずかしさを感じました

写真15-3
石垣島観光の参加者。アンパルの自然を守る会のメンバーに案内していただいた=2019年4月1日
(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

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