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■石垣島シンポジウムの講演(要旨)

八重山諸島の豊かな自然

アンパルの自然を守る会共同代表、竹富町教育委員 島村賢正さん

写真2-1

八重山諸島には多種多様な生物が生息している。島の面積にたいして、そこにすむ生物の種類が非常に多い。

八重山の島々はその成り立ちから石垣島、西表島、与那国島など山のある高い島と、竹富島、黒島、波照間島など平たく低い島に分けられる。高い島は古い時代にできた島、低い島は琉球石灰岩からなる新しい島である。暖流の黒潮が与那国島と台湾の間を北上する。そのため、八重山諸島は一年中温かい海水に囲まれている。冬でも最低気温が15℃を下回ることはまれである。年平均気温は約25℃と高く、一日の気温較差は小さい。年間降水量は多く、2000㎜を超える。このように亜熱帯海洋性気候帯に属する。

日本はユーラシア大陸の東に位置し、南北に連なる細長い島国である。北は亜寒帯から南は亜熱帯まで幅広い気候帯に属し、豊かな降水と変化に富んだ四季がみられる。また、多様な気候と地形をもつ日本は、世界的にみても多種類の動植物が生息する地域といわれている。

そのなかでも琉球列島、とくに八重山諸島には多くの種類の生物と、そこにしか生息しない生物(固有種、固有亜種)が数多くみられる。

たとえば植物は、全国の約0.2%の面積しかない八重山諸島に、全国の約16%、1300種の在来植物がみられる。

ハ虫類と両生類は、沖縄は非常に割合が多い。ハ虫類をみると、日本全土で97種(そのうち固有種は37種)だ。この97種のうち、八重山諸島を除く沖縄諸島に24種いる。24種のうち9種が固有種(または固有亜種)となっている。八重山諸島にはハ虫類が23種いる。日本全土で97種だから、八重山諸島は24%を占めている。八重山諸島は23種のうち12種が固有種である。固有種がすごく多い。

両生類は、八重山諸島に8種いる。そのうち4種は固有種(または固有亜種)である。

昆虫類も多い。八重山諸島に4500種もいる。日本全土で3万1500種だから、その14%が八重山諸島にいることになる。

わたしはセミを調べている。セミの仲間は日本全土で35種(固有種は18種)である。そのうち八重山諸島は10種(固有種は5種)だ。日本の固有種18種のうち5種が八重山諸島にいる。

このように生物相が非常に豊かだ。固有種がたいへん多い。これが沖縄・琉球列島、または八重山諸島の特徴である。


八重山諸島は日本最南西端の島々。12の有人島と11の無人島からなる。石垣島、竹富島、小浜島、黒島、鳩間島、波照間島、新城島、西表島、与那国島など。

(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

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