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人工干潟造成は「実現性が低い」

〜三番瀬保全団体の主張を県が全面的に認めた!〜


図7-1

 三番瀬をめぐって大きな動きがありました。先の2月定例千葉県議会で、諸橋省明副知事は人工干潟造成について「県事業として実現性が低い」と答弁しました。
 三番瀬は東京湾奥部に残る唯一の自然干潟・浅瀬です。30万署名など埋め立て反対運動の高まりによって県は2001年9月、三番瀬埋め立て計画を白紙撤回しました。
 県はその後、猫実川(ねこざねがわ)河口域(市川市塩浜2、3丁目地先)の人工干潟造成をめざしました。「自然再生」や「干潟的環境形成」がうたい文句です。
 その本当の目的は、この海域に第二東京湾岸道路を通すことでした。人工干潟を造成するさいに沈埋(ちんまい)方式(ボックスカルバート方式)で道路を通すというものです。県はそれをひた隠しにしながら人工干潟造成をめざしました。“二湾隠し”です。
 私たちは「自然再生」などという堂本暁子前知事らのまやかしにだまされませんでした。第二湾岸道路の建設が真の目的であることを見ぬき、人工干潟造成に反対する運動をねばり強くすすめました。猫実川河口域の市民調査や行政交渉などです。県議会でも、人工干潟造成の理不尽さを何人もの議員に追及していただきました。日本湿地ネットワーク(JAWAN)のみなさんも人工干潟造成に反対する意見書をなんども提出してくれました。感謝申しあげます。
 2月県議会において副知事はこう答弁しました。
 「干潟を造成した場合、人が海とふれあえる親水性は一定の効果が認められるが、三番瀬全体の自然再生への効果は限定的である。また多額の整備費や管理費を要することなどが明らかになった。この検討結果から、県事業としての実現性は低いと考えた」
 私たちの主張を全面的に認めました。こうも答弁しました。
 「カキ礁を含む猫実川河口域は底生生物が多く生息している。この区域は東京湾に残された貴重な干潟・浅海域である三番瀬の一部と考えている」
 人工干潟造成と第二湾岸道路建設を食い止めるうえでいい方向に情勢が動きました。長年にわたる運動の成果です。
 とはいえ、三番瀬に第二湾岸道路を通す構想はまだ消えていません。油断は禁物です。私たちは運動の手をゆるめないことにしています。

(三番瀬を守る連絡会 中山敏則)

(JAWAN通信 No.115 2016年5月20日発行から転載)

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