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■各地の動き


〜鉄道・運輸機構が発表〜

北陸新幹線 中池見ルートを変更

 北陸新幹線の金沢―敦賀間のルートがラムサール条約湿地の中池見湿地を通過する問題で、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は5月8日、湿地を直接通過しないルートへの変更が国土交通省から認可されたと発表した。
 このルートをめぐっては、2002年の環境影響評価(アセスメント)実施時に想定された「アセスルート」が集落を分断することから、約100メートル湿地寄りに認可ルート(旧認可ルート)が設定され、湿地の一部「後谷(うしろだに)」を横切る形となっていた。そのため、自然保護団体などがルートの見直しを要請していた。
 今回の変更によって、中池見湿地の環境や生態系への影響はより小さくなった。しかし、依然としてルートの一部はラムサール条約の登録範囲に入ったままである。湿地周辺の自然環境への影響は少なからず発生すると危惧されている。 

〔図〕
(『JAWAN通信』編集部)

2015年干潟・湿地を守る日イベント

吉野川河口探鳥会

 「干潟・湿地を守る日」キャンペーンは1999年からはじまり、今年で17回目になる。これは、諫早湾(長崎県)が閉め切られた1997年4月14日を忘れずに全国の干潟・湿地を保全しようという全国キャンペーンであり、毎年春に実施されている。日本野鳥の会徳島県支部も、このキャンペーンとして吉野川河口探鳥会を開いている。今年は4月19日に開いた。
 当日は朝から小雨模様で天候が心配されたが、雨もあがり、晴れ間も見えてきた。今年は風もなく、たいへん暖かい探鳥会となった。参加者は例年より少なかったが、観察場所の堤防の足もとにはトウネン、ハマシギがやって来て、えさをついばんでいた。中洲ではハマシギ、ダイゼン、オオソリハシシギ、メダイチドリなどが見られた。
 最後に、志を同じくする人々と連携し、干潟・湿地という環境の重要の理解を広め、その賢明な利用につながるラムサール条約登録湿地を増やし、今ある豊かな海や干潟・湿地を後世に残すために力を合わせて行動しようという宣言文を読みあげ、参加者の拍手で採択した。

 (石川茂夫)
〔写真1〕
吉野川河口探鳥会=4月19日

2015年干潟・湿地を守る日イベント

谷津干潟自然観察会

 千葉県野鳥の会は5月5日、「こどもの日 谷津干潟自然観察会」を開いた。「干潟・湿地を守る日2015」の参加イベントである。
 谷津干潟は、干潟としては日本で最初にラムサール条約湿地に登録された。団地や高速道路などに囲まれためずらしい干潟である。
 大型連休中ということもあり、谷津干潟には大勢の家族連れや野鳥観察者などが訪れた。干潟の周りに整備された遊歩道をジョギングする人もたくさんいた。
 谷津干潟は周りに柵が設けられている。観察壁や観察シェルターも設置されている。そのため、野鳥を間近にみることができる。この日は、谷津干潟の看板スターであるセイタカシギも2羽みることができた。ほかにメダイチドリ(70羽)、キアシシギ(15羽)、カルガモ(10羽)、コガモ(10羽)など27種の野鳥を観察することができた。谷津干潟の観察会にはじめて参加した人は、セイタカシギやメダイチドリなどをすぐ近くでみることができて感激していた。

〔写真2〕
子どもの日 谷津干潟観察会=5月5日
(『JAWAN通信』編集部)

2015年干潟・湿地を守る日イベント

三番瀬市民調査

 三番瀬市民調査の会は、開発の危機にさらされている三番瀬・猫実川(ねこざねがわ)河口域を守るため、この海域の調査を2003年からつづけている。4月19日と5月17日は「干潟・湿地を守る日2015」の参加イベントとして調査をおこなった。法政大学の学生も11人が参加した。うち10人は初参加である。
 調査項目は生き物、アナジャコ巣穴数、塩分濃度、透視度、天然カキ礁、酸化還元電位などである。生き物は、4月19日が51種類、5月17日は66種類を確認した。4月19日は大きなアメフラシを4匹発見した。大学生はこんな感想を寄せてくれた。
 「三番瀬にはじめて踏み入れ、干潟や浅瀬の大切さを実感した」
 「アカエイやアメフラシなど、海の野生動物をたくさんみることができて感動した」
 「猫実川河口域のカキ礁を通る高速道路(第二東京湾岸道路)の構想も教えてもらった。なんとかならないのか、と思う」
 「干潟に踏み入れたのははじめてだった。いろいろな生き物をみたり、泥干潟に足がはまったりと、とても楽しかった。めったにみられないとされるアメフラシもいた。アメフラシは可愛かった」
 今年は8月まで月1回、調査を予定している。

〔写真3〕
三番瀬市民調査の参加者=4月19日
(『JAWAN通信』編集部)
(JAWAN通信 No.111 2015年5月30日発行から転載)

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