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ラムサール条約事務局長来日記念シンポジウム開かれる


 4月10日、ラムサール条約事務局長来日記念シンポジウムが東京のJICA市ヶ谷ビル国際会議場で開かれました。シンポのテーマは「世界の湿地保全のために、つながる、『ワイズユース』の知恵」です。

ラムサール条約事務局長 クリストファー・ブリッグス氏の講演要旨

 日本のラムサール条約登録湿地を見ることができてとても良かったです。
 湿地は700億ドル、熱帯林は1㎡あたり2760ドルの価値があります。水の役割は農業、産業など湿地から生み出されています。人間が生活するに必要です。人間の体は75%が水でできています。湿地がなければそれはできないでしょう。
 温暖化の影響で、洪水や干ばつ、嵐などの起きる確率が高まっています。これは湿地を破壊し続けてきた結果です。
 ラムサール条約はサンゴ礁、マングローブ、海岸線も対象としています。湿地は娯楽にも必要です。人間は、農業などのワイズユースにより文明を発達させてきました。
 世界では何が起きているのでしょうか? 水は、昔の人たちが利用していたときより、現在の人たちが多く使っています。水を使い続けるためには、きちんと管理していくことが必要です。
 湿地は、洪水や嵐などから私たちを守ります。そのことの認識を高めていかなくてはいけません。湿地の価値の認識を変えなくてはいけません。
 この40年で湿地を40%もなくしてきました。湿地はジメジメしたところ、汚いところなどと思われていますが、情報を集める必要があります。コミュニケーションにより、湿地をいいイメージに変えていかなくてはいけません。湿地の大切さを感じてもらわなくてはならないのです。
 人々は湿地のサービスに気づいていません。水は、農業にとっても経済的価値があります。質の高い水や上流を考えていかなければなりません。管理をしなければ質の高い水は得られません。都会ほどそうです。そういうことが行われてこそ、湿地のワイズユース(賢明な利用)が可能になります。

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 環境省自然環境局野生生物課湿地保全専門官は、「日本はアンビバレントな対応をしています。バランスをとりながらワイズユースを進めていきます」というようなことを話しました。「アンビバレント」とは、「一つの物事に対し相反する価値が共に存し、葛藤する状態」のことをいいます。ラムサール条約はまさにアンビバレントですね。
 なお、現在のラムサール条約加入国は186カ国。日本の登録地は46カ所です。

(山内美登利)

(JAWAN通信 No.107 2014年5月31日発行から転載)

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