ラムサール条約COP10展示ブースで

伊藤よしの JAWAN/ラムサール条約と私たちの湿地

 COP10は日本のNGOの参加者が多いことでも、画期的な会議でした。開催国韓国の政府やNGOなどが準備した会場周辺での取り組みも多く、出発前に参加したいイベントをチェックしていたにもかかわらず、どれに出たものやら毎日毎時間悩まされ続けました。できるだけみなさんと重ならないイベントに出るよう工夫しましたが、この通信では特に展示場で実施した2つのイベントに絞って報告します。

1.アナダ・ティエガ ラムサール条約事務局長を迎えてのイベント
  (10月30日14:30〜15:15)

 この日朝一番に事務局にお願いに伺ったときは、アナダ事務局長ご本人からOKをいただきましたが、緊急な会議が入ったとかで、急遽アジア・オセアニア担当のシニアオフィサーになられたLEW YOUNGさんに来ていただくことになりました。(写真1)
 まず共同代表辻淳夫さんがウェルカムの挨拶とJAWANの活動を簡単に説明後、特に「ラムサール条約入門」を例にJAWANの翻訳・出版関係の取り組みや、琵琶湖ラムサール研究会の活動について説明しました。
 LEWさんは、「ラムサール条約のツールを自国語に翻訳してたくさんの人が利用できるようにすることの重要性は今回の本会議でも取り上げられている。公式言語(英語・仏語・西語)以外の国や、地域で言葉が異なる場合のことで議論があった。JAWAN他のNGOによるこのような活動を賞賛します。」というコメントがありました。
 釧路市からは釧路国際湿地センターの斉藤さんが、これまで同センターで翻訳出版した2冊の本(原版は条約事務局)の紹介と、研修活動の報告をしました。この2冊の本は「ラムサール条約入門」にも記述されていますが、HPからも購入できます。
 また、日本政府によるサイドイベント終了後直ちに駆けつけてくださった野生生物課尼子さんは「環境省はCEPA関係にあてる予算が少ないので、このような重要な本をJAWAN方式(助成金プラス販売による費用捻出)で翻訳出版していただくことは大変うれしい」ということでした。役に立つ重要な本と認めていただいたので、出版担当者としてもこれからさらに強力な販売体制を組まなくてはと志を新たにしました。
 韓国版「コンベンションマニュアル」の出版担当者(韓国政府)Hwang Suk Tae氏も、この本の紹介をされました。編集担当のLEE Namueさん、NGO共同代表のハン・ドンウクさんも出席し、兄弟関係にある日韓のマニュアルやTシャツなどの交換を行いました。
 愛知県からはCBD COP10関係の支援実行委員会事務局長の小林寛司さんも参加、名古屋でのCBD開催について紹介されました。小林さんはツアーのバスの中で「ラムサールCOP10チャンウォン〜CBD COP10名古屋」と書いたJAWANのバッジをプレゼントされ、とても嬉しかったなどの、感想も述べておられました。
 そのあと、泡瀬や三番瀬など各地のNGOが、LEWさんをとり囲み、それぞれの活動や問題点について熱い報告を続けました。(写真2)
 今回アジア・オセアニア担当官になられたLEWさんは長い間香港のマイポで活動し、よく来日されていたので、すでにご存知の方も多いと思います。マイポ湿地見学や博多湾のことでもずいぶんお世話になってきました。CEPA関係にも詳しく、このイベントを通じて日本の各地の活動を報告できたことは大変有用でした。LEWさんは今回、韓国NGOの本会議におけるフロアからの発言についてもさまざまなアドバイスをしてくださっています、これからもNGO側からのデータを届け続けることが大切だと思いました。なお、以前LEWさんと同じ仕事をしておられた小林聡史さんも少し離れたところから見守っていてくださったようです。
 予定時間をかなり過ぎるまでご一緒していただきましたが、参加者からのたくさんのお土産を抱えて急ぎ足で会議に戻っていかれました。ラムサール条約事務局からはスイス製のチョコレートと、湿地の写真集をプレゼントしていただきました。

写真1 LEW YOUNGさんを囲んで記念撮影 写真2 泡瀬の説明を聞くLEW YOUNGさん

2.「クロツラヘラサギを守ろう」ブースイベント
  (10月28日14:30〜15:00)

 「ラムサール条約と私たちの湿地」ブースではクロツラヘラサギに関する緊急イベントを開催しました。このイベントは、松本さんの新作絵本のストーリー、「韓国と日本の子どもの友情によってクロツラのプーたちが救われる」という筋に基づいて、ほとんどぶっつけ本番で企画・実施したものです。松本さんとホテルの事務所で手書きのチラシを作り、コピーして配布しました。開催までの経緯は以下です。
  • 26日、スンチョンNGO会議で、LEWさんに久しぶりに再会、翌日の朝食時に松本さんがパソコンのデータを使って博多湾人工島の危機的な状況を伝えることができた。
  • 27日、NGO会議開催前に、ウェットランドフォーラムのポスターや絵本を紹介、会議出席者に訴えた
  • 日本野鳥の会・ウェットランドフォーラム・「ラムサール条約と私たちの湿地」でブースでのイベント実施に向けて話し合い、28日に実施。
イベントの内容としては
  1. 日本野鳥の会、山本裕さん:クロツラヘラサギの渡りなどの説明
  2. ウェットランドフォーラム、松本悟さん:博多湾での生息現状
  3. バードライフアジア、シンバ・チャンさん:保全に向けた国際的な取り組み(沿岸域、特に干潟の保全の重要性)
  4. 参加者からの声・絵本のプレゼント・クロツラヘラサギ保全のためのバナーへの書き込みなどの交流。
 報道関係者も含め、各国NGOメンバーなど、たくさんの人が集まり、ラムサール条約にもクロツラヘラサギの緊急の取り組みの必要性を伝えることができました。韓国の学校の先生からはこの本をアニメ風に直して教材として使いたいという申し出があり、また韓国の環境教育関係のHPに取り上げられるなど、さっそく波紋が広がりつつあります。
 また、オランダでも人工島に良く似た開発があったが、住宅地に住む人々が環境保全を訴えたことと、業者が住宅地としての付加価値を認め、湿地として保全されたという情報を得ました。まだ探していませんが、この事例はHPで見ることも出来るそうです。
 このように、ブースを緊急な課題のイベントのスペースとしても利用できることを実証できました。みなさんのこれからの活動の参考になれば幸いです。
 通訳は新海美佳さん、池田愛美さん、キム・ソヤンさんが務めてくださいました。裏話ですが、この絵本を読んだ女性は残らず涙を流しました。(写真3、4)

写真3 シンバ・チャンさんとハン・ドンウクさんを交えて(イベント終了後) 写真4 「クロツラヘラサギを守ろう」ブースイベント発表者一同

※写真1、2,4は原野好正さん提供。

(JAWAN通信 No.92 2008年12月25日発行から転載)


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