■諫早干潟緊急救済本部・干潟を守る日諫早実行委員会

シンポジウム「生きかえれ 諫早干潟」

〜漁業と農業の両立をめざして〜<

●日 時:4月11日(土)13:30〜17:00
●場 所:長崎県諫早市「高城会館」
●主 催:諫早干潟緊急救済本部・干潟を守る日諫早実行委員会

東京・島根などからも参加があり九州地区を中心に、100名の参加者があった。
山下八千代代表(諫早干潟緊急救済本部)は「調整池の底に沈んでいる干潟を再生しなければならない。全国で戦っている干潟や湿地を守っている方たちと連携して、諫早の干潟を取り戻すため、生き返らすために努力して頑張っていこう」とあいさつ。
その後、長崎大学の田北徹名誉教授より基調講演「有明海の自然と漁業の再生を願って」、よみがえれ有明海訴訟弁護団の堀弁護士より「裁判の現状報告と展望」の報告があった。
シンポジウム「生きかえれ 諫早干潟」

 翌日(4/12)は、干拓地内をバスで見てまわった。干拓地は、営農が進み、ジャガイモやたまねぎ、ビールムギの青々とした畑が広がっていた。潮受堤防道路をはさんで海と調整池は分断されている。しかし水門を開けて海水交換が行えば、内部堤防の前面に広大な干潟を復活できることは間違いのないと実感した。

宣言文の採択

干潟を守る日2009in諫早 「生きかえれ 諫早湾干潟」宣言


 忘れもしない1997年4月14日。諫早湾に「ギロチン」と呼ばれた293枚の鋼鉄板が水しぶきを上げて落とされました。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
 人間の押したボタン一つで諫早湾は分断され干潟の乾燥化が開始されました。干潟ではゴカイをはじめハイガイ、カキ、ムツゴロウ、ワラスボなど生態学的にも貴重な生物たちが根こそぎ死んでいきました。あれから12年。
 2007年末には干拓工事が完了し、2008年4月からは干拓地内での営農も始まりました。しかし、この干拓事業によって引き起こされた「有明海異変」と呼ばれる環境破壊は深刻さを増し続けています。
 調整池では富栄養化が進み有毒なアオコが発生し、ユスリカやホテイアオイが大繁殖の異常発生しました。「人為的な異常な環境における異常な生態系」が現在の調整池の新しい生態系の実相であります。
 一方、潮受け堤防の外側では調整池からの毒水排出により赤潮が頻発しています。2008年8月13日には小長井町の海岸に大量の死んだ魚が打ち上げられました。8月15日には潮受け堤防に沿って大規模な青潮が発生しました。青潮は低層の貧酸素水塊が海面に現れたものであり、諫早湾・有明海の海水がとてつもなく異常な状態にあることを示しています。2008年は赤潮が冬場にまで発生し、海苔の色落ちが発生しました。有明海の海況異変や生態系の破壊が有明海漁業を疲弊させているのです。事は急を要します。一刻の猶予もありません。

 現況を打開するには、潮受け堤防を開門するしかありません。2008年6月27日、佐賀地裁は国に開門調査すべきとの判決をだしました。しかも国がこれまでに中・長期の開門調査をしなかったことに対して「立証妨害」「訴訟上の信義則に反する」とまで言い切っています。それにもかかわらず国は不当にも控訴しました。
 調整池に海水が導入されればアオコの発生はなくなります。干陸地は干潟に戻り、ムツゴロウやハイガイも復活し干潟の浄化能力も回復します。調整池からの毒水の排出もなくなり、有明海での赤潮発生も抑えられます。有明海の潮流も完全とは行かないまでも回復します。開門こそが有明海再生の要石(Key Stone)です。
 干拓農地およびその周辺への影響ですが、農業用水は確保できます。灌水被害はポンプの増設と排水路整備で解決できます。有明海漁業と干拓地農業は両立できるのです。
 私たちは豊かな自然を未来に残したい皆さんとともに行動します。諫早湾・有明海の豊かな自然が回復するまで行動し続けます。環境破壊の代名詞である「Isahaya」が環境復元の代名詞となるまで楽しく行動し続けます。以上、宣言します。

        2009年4月11日
              干潟を守る日2009in諫早 参加者一同


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