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辺野古の海を土砂で埋めるな!

〜辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会が4回目の防衛省交渉〜


 沖縄の辺野古新基地建設問題が重大な局面を迎えている。沖縄防衛局は6月12日、埋め立て予定海域への土砂投入を8月17日に開始すると沖縄県に通知した(現在は土砂投入を見合わせ中)。これにたいして翁長雄志沖縄県知事は7月27日、仲井真弘多前知事がだした埋め立て承認を撤回する意思を表明した。沖縄防衛局が環境保全措置を履行しないまま工事をすすめていることや、軟弱地盤の危険性が判明したことなどが理由である。膵臓がんにおかされ、余命いくばくもないなかでの表明であった。8月8日、翁長知事は亡くなった。このように緊迫した状況のなか、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会(土砂全協)は7月26日、防衛省と4回目の交渉をおこなった。

写真1
防衛省(手前)と交渉する辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会のみなさん
=2018年7月26日、参議院議員会館

◆埋め立てを強行

 土砂全協は、辺野古埋め立て用土砂の採取場所とされる西日本各地で土砂搬出に反対する活動をくりひろげている。土砂全協には12府県18団体が加わっている。
 この日の交渉では、埋め立て用土砂の採取場所、搬入方法、購入単価のほか、特定外来生物の駆除策、大浦湾の軟弱地盤などをとりあげた。交渉で浮き彫りになったのは、法制度や諸問題を無視し、なにがなんでも土砂を投入しようとする防衛省の強引な姿勢である。

◆外来生物の駆除方法を示せない

 たとえば特定外来生物の侵入防止策である。沖縄県外から搬入する土砂は特定外来生物混入の可能性が非常に高い。アルゼンチンアリ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ、クロゴケグモなどだ。ところが防衛省は、「現時点において、特定外来生物の駆除方法で具体的にきまっているものはない」「いま契約している埋め立て工事はすべて沖縄県内の土砂を用いる」と答え、外来生物侵入防止の実効策をいっさい示さない。沖縄県の条例や生物多様性国家戦略などを無視である。

図1

◆計画どおりの土砂確保は困難

 沖縄県外の土砂搬出予定地では、住民運動によって土砂搬出を止めたところもある。たとえば熊本県天草の御所浦では、採取した土砂で掘削跡(穴)を埋めもどすことになった。鹿児島の徳之島では、土砂採取に漁協も反対しているため、なにもしていない。
 土砂全協はこれらの事例をあげてこう追及した。「辺野古の埋め立てに用いる土砂の75%は沖縄県外から運び入れる。もしそれが入ってこないとなると、抜本的な変更あるいは中止をせまられる。8月17日開始の埋め立てはやめるべきだ」。しかし防衛省は、「現時点では、埋め立て承認願書の添付図書に記載されている採取場所と採取量に変更はない」をくりかえした。

◆マヨネーズ並みの軟弱地盤

 大浦湾の埋め立て予定海域では、沖縄防衛局の地質調査によってN値ゼロの軟弱地盤が確認された。N値ゼロは「豆腐かマヨネーズのようなぐにゃぐにゃの軟弱地盤」といわれている。これについても防衛省は、「継続中のボーリング調査の結果などをふまえ、地盤の強度については総合的に判断する必要がある」の回答に終始した。
 防衛省のひどい答弁にたいし、参加者からは「いいかげんにしてほしい」「特定外来生物の侵入防止策を本気で講じようとしているのか」「生物多様性国家戦略を守る気があるのか」などの批判が相次いだ。

◆あきらめない

 交渉には50人が参加。国会議員も、沖縄等米軍基地問題議員懇談会所属の議員など本人8人、秘書8人が同席した。交渉のあと、沖縄選出の糸数慶子参議院議員はこうのべた。 「防衛省との交渉はフラストレーションがたまる。しかしそれでもやりつづけなければならない。8月17日に埋め立て決行となっているので、気持ちがあせる。しかし、埋め立てどころか土砂の問題も含めてあらゆる課題を残しているので埋め立ては決行できないと私は信じている。きのうの集会からきょうの交渉にかけて、多くの仲間のみなさんの思いを確認できた。感謝したい。あきらめずにがんばることを申しあげたい」

(JAWAN通信 No.124 2018年8月30日発行から転載)

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