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護岸工事、土砂投入で海を殺すな!

〜広がる土砂搬出地や首都圏の運動〜

反辺野古埋立土砂搬出/首都圏グループ

図4-1

◆あきらめは大敵、工事は進んでない

 安倍政権は、辺野古の護岸工事が進んでいると言うが、新基地の護岸は総延長7151mで、工事に入ったのは6%だけ。しかも、浅場の簡単な工事だ。
 岩礁破砕の本格工事はこれから。水深60m以上の深場のC1〜C3護岸は、海底に捨石を入れて台座とし、その上に土砂を詰めた52m×24?×22mのケーソン(鉄筋コンクリートの箱)を沈める。それほど水深がないA護岸などは、鉄鋼の板を並べて建て、土砂を入れる。沖縄防衛局は沖縄県への設計変更申請をせず、7月には土砂投入による埋め立てをはじめるようだが、違法工事の強行を許してはならない。 

◆有毒・有害の外来生物が侵入する

 埋め立てには10トンダンプ340万台分、2100万?の土砂が必要。その8割近くを新たに沖縄本島と、県外の西日本各地から搬入する。今後は県外・西日本の奄美諸島、大隅、天草、五島、門司、瀬戸内海の山口県側・小豆島からの土砂も加わる。
 沖縄県には「外来生物侵入防止の土砂条例」があり、県は他県からの搬入土砂を調査・規制している。西日本各地にはアルゼンチンアリやセアカゴケグモなどや、オオキンケイギクなどの有害特定外来生がすでにいる。アルゼンチンアリは沖縄特産のサトウキビの害虫だ。
 奄美大島では、特定外来生物のハイイロゴケグモが見つかった。その対策は120秒間のシャワー洗浄だけ。しかし、土砂といえ、その半分以上は土で、その多くは流れ出て海に堆積し、サンゴ礁や漁場を荒らす。沖縄防衛局は100度の高熱処理や燻蒸・塩水等の処理も試しているが、効果は薄いようだ。
 今、護岸予定地への石材投下が始まったが、粉塵で海が白く濁り、サンゴやジュゴン、ウミガメなどの貴重生物が死滅する恐れがでている。

◆埋立工事の計画はかなりいい加減

 大浦湾海底の石灰岩層に大きな空洞があり軟弱な地盤も多い。新基地内に活断層がある可能性が高い。埋め立ては大幅な変更、防衛局の調査は2014年に終了のはずだが、まだ続いている。工期も大幅に延びそうで、ケーソン工法の是非を含め、工事不可能の可能性もでている。
 新基地建設には、辺野古ダムから大浦湾に通じる川の流れを変更し、飛行場の下を暗渠にして川を通す計画だ。でも川のその辺りは水生生物が500種以上、うち50種は川と湖を回遊している。川が日光の当たらない暗渠になると、これらの生物の多くは死んでしまい、生物多様性を失う。また、暗渠の水路は90度曲がるので、水害発生の心配もある。
 島内の土砂の運搬では、辺野古ダムの上にベルトコンベアーを設置する、1日にダンプ600台で輸送するという計画だ。これらは皆、名護市長・県知事の認可が必要。島内の輸送を担う多くの大型輸送車に重量オーバーや不正改造も起こっている。

図4-2

◆広がる土砂搬出反対の県外の闘い

 「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」に結集している沖縄と西日本各地の18団体の反対運動は広がっている。福岡県門司地区、山口県防府市・周南市の島々、長崎県五島、熊本県天草で、地元の議員を巻き込み、県や市長と粘り強く交渉。長崎県は「沖縄の要請には協力する」と回答。沖縄県ではこの回答を「歓迎する」と言っている。
 鹿児島県では、奄美の特定外来生物の移出禁止、採石場赤土のサンゴ礁汚染防止を要請。奄美市内業者の「市の採石業の認可取り消し」を県に申し入れたが、県議会経済委員会で不採択となった。
 香川県では、小豆島の採石場内で土砂を海水洗浄する採石業者に認可を延長しないよう要請。洗浄廃水の土で漁場が荒れるので、県の監視と対策を協議。同県では搬出地・小豆島から離れた坂出市で2月18日に全港湾四国地本や地区労などの辺野古土砂搬出阻止集会が開かれた。
 首都では「護岸工事・土砂投入で海を殺すな辺野古新基地建設NO!2/25首都圏大行動」を開催。私たち「反辺野古埋立土砂搬出/首都圏グループ」は実行委員会の一員として参加(写真)し、土砂搬出の状況と全国の反対運動を報告した。4月になり、同実行委は「辺野古土砂投入阻止連絡会」に再編成した。
 埋立土砂搬出の問題は、一般にはだまだ知られていない。それをよいことに、政府や沖縄防衛局は法令無視の「なんでもあり」で埋め立て・基地建設工事を進め、あきらめムードを広げようとしている。
 県民の多くは「あきらめなければ、必ず勝利する」と言う。戦いはこれからだ。

写真5-1
(JAWAN通信 No.123 2018年5月20日発行から転載)

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