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ラムサール条約登録「中池見湿地」を通る
 北陸新幹線建設工事に関する要望書

環境大臣 山本公一 様
特定非営利活動法人ウエットランド中池見
理事長 笹木智恵子

 私たちは、福井県敦賀市にある希少な地形、袋状埋積谷の中池見湿地保存に向けて1990年から調査・啓発活動を行ってきました。当地には世界屈指の厚さ(40m、約11万年分)を誇る泥炭層の存在が確認されており、国際的に注目を集め、ラムサール条約への早期登録が求められてきました。
 
 開発計画がいくつか策定され、ガス基地計画については着工寸前までいきましたが幸い、諸般の事情で計画は中止、事業予定地は敦賀市に寄付し撤退となりました。その後、環境省、福井県はじめ関係者の皆様方のご尽力により、2012年にラムサール条約に登録していただき、国際的に重要な湿地として守られることになりましたが、時期を同時にして北陸新幹線の金沢・敦賀間のルート公表、着工認可がでました。
 
 その認可ルートは、アセスメント時より湿地寄りとなっており、私たちは問題を提起、回避を求めての運動を展開した結果、ルートは変更されましたが、相変わらずラムサール条約登録範囲、それも集水域として一番重要な深山(みやま)にトンネルが掘削されることになりました。事業者である(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し「ラムサール条約決議Ⅹ.17 環境影響評価及び戦略的環境影響評価:科学技術的手引きの改訂版」にのっとるよう要望書を提出しましたが、認識が薄く、当事者責任を回避するような回答でした。
 
 つきましては、環境省におきまして、ラムサール条約登録湿地、世界に誇る泥炭層の中池見湿地を守るためにも「水はいのち」の観点から機構及び同工事に対して厳しく監視、指導をいただきたく要望いたします。

(JAWAN通信 No.117 2016年11月30日発行から転載)

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