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■湿地保全団体の紹介

アンパルの自然を守る会

〜生物多様性豊かな昔の姿を取り戻すために〜


◇主な事業の概要

 本会の発足は2009年3月15日です。以来、島村賞、子どもアンパル教室、アンパルガイド講座、学校単位の自然観察会、市民観察会、講演会、生き物調査(昨年・キバウミニナ、今年度、魚)、環境調査(水質、土壌、底生生物)、アンパルの自然・環境を保全するための監視・調査と行政、事業者への要請などを行っています。
 最近、重要なアンパル水系の一つ前勢岳(まえせだけ)にゴルフ場建設計画が発表されました。水源を守る活動に取り組んでいきます。

◇活動上の課題

 スッタフの若返りと専門家の充実。地元住民の参加。特に自然を保護、再生できる実力を持った組織にしていくため、人材の確保、養成が求められています。活発に動く、機動力のあるスタッフ体制が必要です。

◇今後の展望

 発足6年にしては頑張っていると評価できます。4年後には、かなり専門的な調査研究と自然保護活動が実績をあげていることを夢見ています。

◇活動地域の自然や文化の特徴、素晴らしい点

 アンパルは石垣島名蔵川の河口域に形成された特異なマングローブ湿地で、生物多様性の貴重な宝庫です。於茂登岳(おもとだけ)やバンナ岳などの流域と名蔵湾(なぐらわん)と一体となり、砂嘴(さし)に囲まれた半閉鎖汽水域です。水鳥の渡りに重要な湿地としてラムサール条約に登録され、西表石垣国立公園に編入されています。
 古来、アンパルは魚などが豊富な場所で、人々の蛋白源の供給場所でもありました。古謡「アンパルヌミダガーマユンタ」は、貝などを求め、人々がアンパルに頻繁に通い、そこに多種、多数生息するカニを観察する機会があったことによって生まれた詩です。古人の優れた「自然観察力」に驚かされます。
 現在では土地改良による赤土汚染にさらされ、生物多様性は顕著に減少しています。干潟を埋め尽くすほど飛来していた渡り鳥、子供でも30分もすればバケツ一杯の貝が取れた昔の姿はありません。
 しかし数、量こそ減っていますが、今でも生物多様性があり、ユンタに謡われたカニたちも健在です。ヤエヤマヒルギの繁茂が急速に進み、その落ち葉をエサとするキ
 バウミニナが大繁殖しています。環境が変化し、生態系も徐々に変わってきているようです。

◇将来、守り受け継いでいきたいもの・こと

 アンパルの現状をこれ以上悪化させてはいけない、できれば昔のアンパルを再び取り戻そうという覚悟で活動に取り組んでいます。そのために、石垣島の自然保護団体と共同して、赤土流出を止めることが最重
 要です。
 自然、歴史、文化、産業など名蔵のことを丸ごと理解することがアンパルの環境を保全するうえで必要です。名蔵・アンパルに詳しい専門家、研究者、地元住民、事業者との連携を進めます。


アンパルの自然を守る会

共同代表: 島村賢正、小菅丈治
住  所: 〒907-0001 沖縄県石垣市大浜453-21
TEL: 090-6785-8692(山崎)
FAX: 0980-87-7751
ホームページ: http://www.ishigaki-island-nagura-amparu.org/
(JAWAN通信 No.113 2015年11月20日発行から転載)

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