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ラムサール条約湿地

「オオセッカの最大繁殖地 仏沼」

津曲隆信 (NPO 法人おおせっからんど副理事長)

空から見た仏沼全景

 青森県三沢市の仏沼は2005 年11 月ラムサール条約指定湿地に登録されました。
 オオセッカを始めとするたくさんの野鳥たちにとって、21 世紀に生きる希望を頂いたできごとだったと思います。仏沼はその名の通り、もとは淡水をたたえた沼で、昭和30年代後半からの米の増産政策の中で干拓されたものの、その後の政策の変更で、作付けされないままヨシ原になってしまった所です。
 オオセッカは明治に入って日本に来たイギリス人鳥類学者プライヤーによって明治17年横浜で発見され、新種と認定されましたが、どこでどんな生活をしているのか全く謎のまま50 年が過ぎてしまいました。
 昭和11 年仙台の蒲生干潟のヨシ原でオオセッカの繁殖が確認され、やっとオオセッカの生態が分かりかけたのですが、その後の開発でまた姿を消してしまい、絶滅したと考えられていました。昭和47 年青森県つがる市田光沼でオオセッカが発見され、幻の鳥オオセッカの発見としてニュースになりました。
 翌48 年には八郎潟、そして仏沼でも生息が確認されました。
 仏沼のヨシ原は一様ではなく北側や縁の部分はヨシ丈が低く下部にスゲなどの下草が繁茂しており、オオセッカやコジュリンの好む繁殖の場となっています。南側に行くにつれヨシ丈が高くなり、根元は日がささず下草のない環境となっています。
 また、南側には水路が詰まってできた浅い池が広がり、水鳥の生息環境を提供しています。そのため草原性のオオセッカやコジュリン・チュウヒの他に湿地を好むクイナ類やサンカノゴイ、冬にはコミミズクやハイイロチュウヒなど様々な鳥が仏沼で観察されています。

幻の鳥オオセッカ

湿地の管理

 干拓地の管理のためポンプによる水抜きのほかに毎年ヨシ原に火入れを行い、結果的に木の侵入を食い止めヨシ原の環境が維持されています。また干拓時に農道もしっかり作られ、湿地に入ることなく鳥が観察できる状況となっています。
 問題点としては仏沼内に入って来る水と、排出される水のバランスがうまくとれていないと、乾燥化が進み、植生が変わってしまう心配があることです。湿地を湿地の状態で長く保つというのは大変難しい問題です。湿地の維持や地下水の管理を専門家や研究者にしっかり見てもらうことが必要と思います。

小・中・高生の環境教育の場(自然観察会)

環境教育の場としての活用

 仏沼は三沢市内から車で30 分位の距離にあり、市内の小・中・高生の環境教育の場として活用されています。しかし仏沼には訪問者に対応するビジターセンターなどの施設は何もない状況です。そのため三沢市は環境省の協力を得て、仏沼に3 つの観察コースを設け、コース案内板やセルフガイドの冊子を作って、訪問者の便宜を図っています。
 また三沢市とNPO が協力して市民観察会やクリーン作戦などを開催し、仏沼の素晴らしさを多くの方に体験してもらっています。
 あまり訪れる人がいない厳冬期の小川原湖や仏沼を体験できる冬の観察会も、ハクチョウやカモの他にオオワシ・オジロワシの雄姿を見ることができ、人気が出てきています。このようにいろいろな形で仏沼を身近に感じてもらえるイベントを実施して行くことも大事と思っています。

仏沼を利用した町おこし

 仏沼は三沢市内から車で30 分位の距離にあり、市内の小・中・高生の環境教育の場として活用されています。しかし仏沼には訪問者に対応するビジターセンターなどの施設は何もない状況です。そのため三沢市は環境省の協力を得て、仏沼に3 つの観察コースを設け、コース案内板やセルフガイドの冊子を作って、訪問者の便宜を図っています。
 また三沢市とNPO が協力して市民観察会やクリーン作戦などを開催し、仏沼の素晴らしさを多くの方に体験してもらっています。
 あまり訪れる人がいない厳冬期の小川原湖や仏沼を体験できる冬の観察会も、ハクチョウやカモの他にオオワシ・オジロワシの雄姿を見ることができ、人気が出てきています。このようにいろいろな形で仏沼を身近に感じてもらえるイベントを実施して行くことも大事と思っています。

(JAWAN通信 No.106号 2013年11月14日発行から転載)

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