三番瀬再生会議を傍聴して

牛野くみ子 千葉の干潟を守る会副代表

 今年に入って三番瀬再生は県主導が一層強まってきました。
 堂本千葉県知事は、住民参加、情報公開を謳った再生会議を、全国モデルと自負していますが、千葉県議会の7割を占める自民党からは、「三番瀬ばかりに金を費やしている。時間ばかりかかってさっぱり前に進まない」と突き上げられていることも確かです。また、「庁内のお偉いさんたちは101haの時の事業がやりたいのだ」と聞いたこともあります。そんなこともあってか、6月に行われた第19回三番瀬再生会議はひどいものでした。予定された時間の半分は県からの報告でした。再生会議をなんと心得ているのでしょう。
 その中の一つに「干潟的環境形成及び淡水導入の検討・試験」というのがあります。
 これは淡水導入や湿地再生をどこで行うかというもので、三番瀬再生の根幹に関係する重要議題です。ところが県は、再生会議に事前に諮ることなく庁内で5回検討したと報告したのです。これには委員もびっくり。「由々しきこと、心外」という声があがりました。県は事例収集などで忙しく、再生会議に事前に説明出来なかった、申し訳ないと謝罪しましたがまったくもって由々しきことです。
 また、行徳湿地の整備ということで海水交換を、現在の暗渠から開削にという提案が出されていましたが、県は経済的に負担が大きく、計画推進は困難と言い出したのです。自然再生というのは時間がかかって当然です。県の姿勢には努力をしようというかけらも見あたりません。円卓会議発足以来何年間も丁寧に議論されてきたものが、経済的云々で蹴られてしまうのです。

市川塩浜改修護岸前に広がる干潟

 現在、再生会議では一度も議論されていない議題に第2東京湾岸道路(2湾)があります。
 県の道路計画課に聞きに行くと、「2湾は構想中であり、ルートは未定」と、それ以上の答えは返ってきません。しかし、一方で知事は就任以来ずっと、2湾の要望を国に出してきました。そして、三番瀬の再生に影響を与えない形で2湾を進めると言ってきました。今年に入り、「平成19年度千葉県三番瀬再生実施計画(案)」が出されたこともあり、今後、再生会議で論じないわけには行かないでしょう。それとも三番瀬の再生に関係ないと言って密かにやってしまうかも。2湾の地下化にしろ高架にしろ、沈埋方式にしろ、三番瀬に悪影響を及ぼすことは必至です。猫実川河口域にある、水質浄化をしたり、稚魚の生育場になっているカキ礁は、壊滅してしまいます。2湾のために貴重な泥干潟に手を入れさせてはなりません。
 なにしろ、堂本知事は101haの埋め立て白紙撤回をしたのです。その中身は2湾と流域下水道でした。しかし埋め立てが出来ないと分かった時点で流域下水道は、先に都市計画決定されていた計画当初の用地場所に戻したのです。埋め立て白紙撤回で死んだはずの2湾が出てくるなんて。結局、県はやりたいものだけやろうとしているのでしょうか。そう思うと納得できますが、やっぱりやりたいことだけやるなんて、おかしいですね。
 これまで以上に私たちは頑張ります、ご支援よろしくお願い致します。

(JAWAN通信 No.88 2007年9月15日発行から転載)


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