モニタリングサイト1000

 モニタリングは、植物、動物、底生生物など、生物種群ごとに行い、昨年から今年にかけて、調査地、調査方法を含めてモニタリングの計画について話し合い、順次調査が開始しています。
 長期にわたるもので、すべてを整えて出発することはできないため、これまで調査の確立している種群については、これまでの手法を引き継いで行き、短期的には5年、中期的には30年等を区切りとして成果をまとめ、手法についても改善を加えていくことになっています。また、結果のデータについては、生物多様性センターにサーバーをおき、入力、分析を行い、閲覧のためのアクセスを可能にするという計画です。このためのソフトの開発もかなり進んできているようです。
 調査自体は、環境省野生生物課が1999年から行ってきたシギ・チドリ類個体数変動モニタリング調査など、既存の調査の枠組みは受け継ぐ部分もありますが、生物多様性センターの企画で、種群のデータからサイト(調査地)の変化を読み取ることが目的です。
 このモニタリングサイト1000の調査について、日本湿地ネットワークに、鳥類のシギ・チドリ類調査についてWWFジャパンと一緒に引き受けてほしい、という依頼がありました。これは、1996年から1998年にJAWANが中心となって全国シギ・チドリ類調査を行った実績が評価されたものです。データの依頼、回収、分析の部分をWWFジャパンが担当し、JAWANとしては地域の調査者との連絡=コミュニケーションの部分を担うという分担をして、2003年度分の準備作業から始めています。
 100年という息の長い、自然の変化の基礎データを積み上げる調査であり、調査者だけでなく、周囲の人々、行政の理解が必要です。また調査のできる人々を新しく育て、巻き込んでいくことが欠かせません。国の調査の下請けを続ける、という形ではなく、私たちが湿地の保全や再生のための活動をする助けになることを国と協力して、国民の税金を活用するような活動となっていけばよいと考えています。
 調査の意義を知り、個々ばらばらのデータがどのようにつながっていくのかを学びあい、そのデータを取っている個人と知りあっていくことは、相互の啓発向上や、調査に対するモティベーションを高めるにことにつながります。また、新しく、若い人々の参加を促すことにもなると思い、そのための会合を企画しようと考えています。

(柏木 実)